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【23.12.19】世界の光 核禁条約/第2回締約国会議 笠井議員に聞く〔中〕

核兵器禁止条約第2回締約国会議で、核兵器廃絶に向けた取り組みの具体化が完結したわけではありません。

第1回締約国会議議長国・オーストリアのアレクサンダー・クメント大使は、私たちとの意見交換で、「まだまだ次の締約国会議への宿題がある。非人道性の議論、新しい科学的リサーチが引き続き必要だ。安全保障と核抑止の関係も深めるべきだ」と指摘しました。

若者に期待

クメント氏は19歳の日本の学生に向かって、「外交官だけでは前進させられない。市民社会の役割が決定的で、とくに若い世代をはじめ広範な人々が声をあげ、核問題に関わって、みんなで議論しなければ何も進まない。この条約(核兵器禁止条約)のいいところは、シンプルさと明確さだ。だから広範な人々に分かってもらえる」と熱い期待を語りました。

2025年に開催される第3回締約国会議(3月3~7日、ニューヨーク)の議長国となったカザフスタンの代表は、被害者支援・国際協力など懸案に意欲的にとりくむと表明しました。会議参加者は、新しいステージに立った条約を各国に持ち帰り実践し努力しあうことになります。

条約の前進に貢献してきた日本の世論と運動の頑張りどきです。

日本に失望

今回の締約国会議では、赤道ギニアの代表が「日本は核廃絶を主張する一方で、国連総会では核保有国と足並みをそろえて投票している。日本の戦略を説明してほしい」と発言しました。

その場に出席していた湯崎英彦広島県知事が答えを促され、「私たちも当惑している。日本政府が、そうした矛盾から抜け出し、少なくともここにオブザーバーとして来て議論し、最終的には禁止条約に署名・批准を望んでいる」と語ったのが、とても印象的でした。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の外交官や学者たちも「日本の市民社会からは、いっぱい来ているけど政府はいないよね」と話題にしていて、「日本がいないのはおかしい。不思議な国」と、またも締約国会議に背を向けた日本政府への失望が広がっていたのです。

帰国翌日の4日に、衆院拉致特別委員会で早速、このような声が唯一の戦争被爆国の日本政府に対して上がっていたことを報告し、一刻も早い条約への参加を求めました。

上川陽子外相は「この条約は出口としては重要だが、核保有国は1カ国も参加していない」と従来の岸田首相の答弁のままで、全ての国に条約参加を呼び掛けた政治宣言への評価についても「日本は同条約に参加しておらずコメントを差し控える」と繰り返すだけでした。

(つづく)

【「しんぶん赤旗」202323.12.19】

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