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【第193通常国会/閉会中審査】日報」疑惑追及/政権ぐるみで危険を隠ぺい(17/07/24予算委)

 

  日本共産党の笠井亮議員は24日の衆院予算委員会で、安倍内閣が安保法制=戦争法の実績づくりを優先させるために、政権ぐるみで南スーダン国連平和維持活動(PKO)への派遣部隊が作成した「日報」の隠蔽(いんぺい)を図った疑いをただしました。安倍晋三首相は、自身が要所要所で渦中にある防衛省幹部と会っていたと認めながら、「陸自に(データが)残っていたという報告は受けていない」と関与を否定。笠井氏は「国会の責任で真相究明すべきだ」として、防衛省・自衛隊関係者の証人喚問を求めました。

防衛省は昨年7月に南スーダンの首都ジュバで「戦闘」があったと明記された日報について「陸自が廃棄した」と説明してきましたが、陸自にデータが保管されていたことが判明。稲田朋美防衛相は2月15日の防衛省幹部との会議で、データを非公表とする報告を受け、それを了承したと報じられています。

報告求めたか
笠井氏は、会議前日(14日)の衆院予算委員会で、笠井氏自身が陸自にデータが保管されている可能性を指摘し、稲田防衛相が「確認して答弁したい」と述べていたと指摘。「(防衛相は)この問題に重大な関心があったはずだ。報告を求めていない方がおかしい」と事実関係をただしました。
稲田氏は「隠蔽を了承することはない」というだけ。「(隠蔽は)私の政治姿勢と真逆」との弁明を繰り返しました。
笠井氏は、稲田防衛相が疑惑究明のために自ら命じた特別防衛監察の聴取を受け、当事者となっている異常性を指摘。稲田氏を任命、かばい続けた安倍首相の責任をただしたうえで、首相自身の関与にも切り込みました。
笠井氏は、安倍首相が、陸自でのデータの存在が岡部俊哉陸幕長に報告された翌日の1月18日、防衛省の黒江哲郎事務次官と豊田硬官房長の2人と面会し、報道で陸自のデータ保管が明るみに出た2日後の3月17日にも黒江事務次官と会っていると指摘。「要所要所で報告を受けて、対処方針を指示したのではないか」とただしました。
安倍首相は、防衛省幹部と会っていたとは認めながら、「陸自に日報(のデータ)があったという報告を受け、(私が)それを外に出さないという指示をするはずがない」と主張。陸自データの保管の経緯については、「特別防衛監察の報告を待ちたい」としか答えませんでした。

憲法の問題に

笠井氏は、「これだけの大問題を総理の関与・指示もなく防衛省・自衛隊幹部が勝手に進めていたなど、ありえないことだ」と述べ、日報隠蔽の動機は現地の自衛隊部隊ではなく、安倍政権側にあったと指摘。「戦闘」の事実が明記された日報が明らかになれば、憲法上の問題となるからと、「政権ぐるみで南スーダンの危険な現実を国会と国民に隠し、隠蔽してきたのではないか」と批判しました。


○PKO「日報」問題をめぐる動き

2016年
7月 首都ジュバで大規模戦闘が発生
9月30日 フリージャーナリストが日報を開示請求
10月3日 防衛省が公開請求を受理
10月25日 政府がPKO部隊の派遣期間を5カ月延長
11月15日 戦争法に基づく駆け付け警護の新任務を付与
12月2日 防衛省が「陸自で廃棄済み」と日報不開示を決定
12月16日 稲田防衛相が日報の再探索を指示
12月26日 防衛省が統幕に日報の電子データを「発見」
2017年
1月17日 岡部陸幕長に陸自内でのデータ保管が報告される
1月18日 安倍首相が黒江事務次官、豊田官房長と面会
1月27日 統幕の防衛官僚が上層部と相談し「今さら陸自内に
あったとは言えない」と陸自に伝達。その後データ消去
稲田防衛相が統幕でのデータ「発見」報告を受ける
2月6~7日 統幕でのデータ保管を認め、一部黒塗りで公開
2月13日 湯浅陸幕副長が稲田防衛相に陸自保管を事前説明
2月14日 衆院予算委員会で笠井議員が日報問題で質問
2月15日 稲田防衛相が黒江事務次官、豊田官房長、岡部陸幕長
らとの会議でデータ保管の「報告」を受け非公表を「了承」
3月15日 報道で陸自にもデータが保管されていたと判明
3月16日 稲田防衛相が衆院安保委でデータ隠蔽(いんぺい)に
関して「報告されなかった」と答弁
3月17日 安倍首相が黒江事務次官と面会
防衛監察本部が特別防衛監察を開始。
【「しんぶん赤旗」2017年7月25日付】

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