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【13.03.18】TPP交渉の余地すらない 参加表明撤回を

衆院予算で首相の論拠追及

 
 日本共産党の笠井亮議員は18日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が「守るべきは守る」などといって環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を表明した論拠を突き崩し、国民ないがしろの参加表明の撤回を求めました。

9か国に『丸のみ』を迫られる
笠井氏は、新規参入国には対等な交渉権もなく、「守るべきものを守る」交渉の余地すら奪われていることを指摘。安倍首相も「すでに決まっていることを蒸し返すことは難しい」と認めていることをあげ、「『ルール作りに参加する』どころか、アメリカなど9カ国で『合意』したことの『丸のみ』を迫られる」と追及しました。
 安倍首相は「これからルールを決められる分野は残されている」と答弁しましたが、笠井氏が、後から参加したカナダやメキシコには不利な条件の念書があったと指摘すると、「日本にはまだ来ていない。どうなるか定かではない」としか答えられませんでした。
 笠井氏は、いったん交渉に参加すれば、いくら主張しても「守るべきは守る」保証はないと指摘。これまで「聖域」とされてきた農林水産品を含む940品目も関税撤廃が求められることになり、政府試算でも関税撤廃で農業生産額が3兆円も減るなど甚大な被害が生まれると指摘。そのうえ、国民皆保険制度や食の安全・安心など非関税分野でも「アメリカのルールをそのまま日本に押し付けられることになる」と強調しました。

国民不在の参加表明=撤回しろ
 安倍首相は「現在、交渉中なのでつまびらかにできない」としか答えられず、甘利明TPP担当相は「議論はいけないと(アメリカの)口をふさぐことはできない」と否定できませんでした。
 笠井氏は、これまでTPP反対などの意見書が44道府県議会、市町村議会では2144件(2012年、農水省集計)にのぼり、最近も相次いでいることをあげ (パネル.pdf 「国民不在、ないがしろの交渉参加は撤回以外ない」と主張しました。 (しんぶん赤旗/2013年3月19日より】

◆審議録(.pdf

論戦ハイライト

 
衆院予算委員会で18日、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加表明の撤回を求めた日本共産党の笠井亮衆院議員。「守るべきものは守る」などという安倍晋三首相の論拠が破たんしていることが浮き彫りとなりました。
笠井氏は、安倍首相が「守るべきものは守る」といいながら記者会見では「すでに決まっていることを蒸し返すことは難しい」のは「厳然たる事実」と発言したことをただしました。
 首相は、「どこまで議論が進んだか、明らかになっていないが、これから決めていく分野が残されていると判断した」と交渉の余地があるかのようにごまかしました。
参加条件の念書
 笠井氏は、メキシコ、カナダは参加表明後、「現行の交渉参加9カ国がすでに合意した条文はすべて受け入れ、再協議は行わない」など三つの不利な参加条件の「念書」を受け取ってようやく参加を認められたことを指摘。「日本も、参加表明後、こういう念書が来ることはないのか」とただすと、安倍首相は「まだ来ていない。これからどうなるかについては、定かではない」と否定できませんでした。笠井氏は「ルールづくりに参加するどころか、アメリカなど9カ国が合意したルールの丸のみを迫られるTPP交渉となってしまう」と批判しました。
すべての品目が
 
笠井氏は、関税分野では、「聖域」としてきたコメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品など940品目も関税撤廃が求められると迫りました。 (パネル.pdf
 笠井 日米共同声明にあるように、「すべての品目が対象とされ」、関税撤廃を求められ、「高い水準の協定を達成」していくことになる。
 首相 そういうふうに書かれている通り。
 笠井氏は、政府試算では、農業生産額は3兆円も減り、食料自給率も40%から27%に低下するなど甚大な被害を受けることを指摘しました。
 笠井 「聖域なき関税撤廃」が前提の交渉だから、それに備えようと(政府試算では)いっているのではないか。
 首相 農業は3兆円という大きなダメージを受ける。
 首相は「(試算は)関税を即時ゼロとし、何の対策もしない前提」と言い訳をしましたが、笠井氏は「即時ゼロでなくても5~10年かけて撤廃するということだ」と指摘し、交渉に入れば関税撤廃させられることに変わりないと述べました。
国民を欺くもの
 
笠井氏は非関税分野でも基準、サービス、知的財産など21のあらゆる分野で、貿易制限が撤廃されると指摘。政府試算は非関税分野の影響を考慮していないと追及しました。
 甘利明担当相 これから交渉していくことで、計算式がない。
 笠井 どんな影響があるかは出せるはずだ。(関税分野だけ都合よく試算して)全体でよくなるというのは国民を欺くものだ。
 さらに笠井氏は、日米共同声明(2月)で米側が自動車と保険、その他の措置を協議対象にしていることを指摘し、米側の要求をのまされる危険性をただしました。
 首相は「さまざまな非関税分野について現在交渉している」と述べ、自動車、保険以外にも協議していることを認めました。
 笠井氏は国民皆保険制度や、食の安心・安全が脅かされる問題が協議されているのではないかと追及。甘利担当相は「皆保険が揺らぐことは一切ない」などと述べるだけで、「議論はいけないと口をふさぐことはできない」と否定できませんでした。
 笠井氏は、「首相は自民党内、アメリカと調整したというだけで、地方自治体や国民とは調整しておらず、国民不在の決断だ。守るべきものが守れないTPP交渉参加表明の撤回を求める」と強調しました。

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