投稿

【第198通常国会】◎論戦ハイライト◎国保料引き下げ “北風”ではなく“太陽”の政治こそ(19/2/20予算委))

20日の衆院予算委員会で、高すぎる国民健康保険料・税の実態をただすとともに、生活苦で支払えずにいる住民をさらに困窮に突き落とすような差し押さえはやめるべきだと政府に迫った、日本共産党の笠井亮政策委員長。生活再建を第一にして支払えるようにする自治体の取り組みを示しながら、「国保料の抜本的引き下げこそが住民の命と暮らしを守り、最大の収納対策にもなる」と強調しました。


知事会などの要望にこたえ国庫負担増は当然

全国どこでも高すぎる国保料に、住民は悲鳴をあげています。高齢低所得の加入者が多い国保の保険料は、家族が多いと、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの2倍にも高くなります。

笠井氏は、国保に対する国庫負担を抑制し続けてきた姿勢を批判。全国知事会が国保料を協会けんぽ並みに引き下げるために1兆円の公費負担増を要望(2014年)し、その後の協議をへて3400億円が投入された後もなお高すぎる現状を改めることができず、さらなる値上げが起きていると指摘しました。

投入後も全国知事会などが提言している「国定率負担の引き上げ」に応じるよう求めたのに対し、安倍晋三首相は「今後も安定的運営に努める」と述べるにとどまりました。

笠井氏は「さらに改革が必要だと言う地方の意見は当然だ」と強調。その要望を踏まえて協会けんぽ並みに引き下げるとした日本共産党の提言を示し、株主優遇税制の見直しなどを財源にして抜本的な引き下げをと求めました。

機械的差し押さえしないと通知・通達なぜ出さない

高すぎる国保料が住民生活を圧迫するなか、病気や失業、所得の激減などで国保料が支払えず、差し押さえとなるケースは全国各地で起きています。

「やってはならないことがある」と切り出した笠井氏。そういう生活困窮に陥った世帯に対し「追い打ちをかけるような差し押さえをしてはいけない。命にかかわる問題だ」と強調しました。

そのうえで、“生活困窮を引き起こす可能性がある場合、処分の執行を停止する”とした国税徴収法が国保料に準用されることや、国税徴収法は▽給与・年金の生計費相当分▽児童手当などの福祉給付―などを差し押さえ禁止財産としており、これらを狙い撃ちした差し押さえはできないことも認めさせました。

笠井氏は「問題はこうした法の趣旨が現場で守られているかだ」と問いただしました。

厚労省が05年、自治体に取り立て強化を指示して以降、国保料の滞納世帯への差し押さえ件数(16年度)はのべ33万6千件に、差し押さえ金額(同)は994億円に、ともに3倍化。自治体職員が滞納者に「ヤミ金で借りてでも払え」「死んで(生命保険で)払う人もいる」と脅すなど、問答無用のやり方が横行しています。

一方、14年11月の国会質問で、機械的な差し押さえはしないという通知・通達を自治体に出すべきだと求めた共産党の小池晃参院議員に対し、当時の塩崎恭久厚労相は「あえてしゃくし定規なことをやるか」「ぬくもりを持った行政をやるべく徹底していく」と答弁していました。

笠井 その後、徹底する通知・通達は出したのか。

根本匠厚労相 ブロック会議などで周知を図っている。

笠井 なぜ通知・通達を出さないのか。現場ではいまなお、しゃくし定規なことをしているではないか。滞納への対応は、一歩間違えば命の問題だという真剣さが足りない。

困窮者に寄り添いながら収納率改善の自治体も

笠井氏は、生活困窮の滞納者に寄り添いながら収納率を改善している取り組みが始まっていると述べ、次の自治体を紹介しました。

▽東京都足立区は、生活困窮者に督促を続けても滞納額がふくらみ、雪が解けずにコチコチに固まる“根雪”になると判断。滞納者の相談に乗り、生活困窮であれば支援策をおこなって今後の国保料の支払いを優先して対応。暗い顔で相談に来た区民は、頑張ってこれからは払うと明るい表情で帰っていく。

▽滋賀県野洲(やす)市の標語は「ようこそ滞納いただきました」。「滞納は生活状況のシグナル」だとして、滞納者が生活困窮と分かれば支援策につなげる。

笠井 病気の人から保険証を取り上げたり、失業・倒産にあった人に追い打ちをかけたりすれば、最悪の場合、命にかかわる。滞納者に追い打ちをかける“北風”を吹かせるか、それとも生活再建で支払えるようにする“太陽”か、どちらがいいと思うのか。

安倍首相 国保は運用の仕方によって命にかかわることは事実だ。適切に運用されるよう各市町村への周知を徹底する。

笠井 政治が国民の“太陽”になるべきとき、なぜそう言えないのか。

笠井氏は、国保料の減免措置の拡大など「納付しやすい環境」をつくれば収納率の向上につながるとした厚労省の指摘も示し、公費負担割合の引き上げで国保料を抜本的に引き下げるべきだと重ねて求めました。

【「しんぶん赤旗」2019年2月21日付】

 

 

 

PAGE TOP