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【第196通常国会】不正競争防止法等改正案に対する反対討論(18/5/11経産委)

 

私は、日本共産党を代表して、不正競争防止法等改正案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、脆弱な個人情報保護制度のもと、内外資本の新ビジネス最優先でデータ利活用を推し進めることが、プライバシーなどの人権侵害をもたらしかねないからです。
本法案は、生産性向上特措法案と一体的に、データ流通環境を整備するものです。この間、行政機関が保有する官民データのオープンデータ化、匿名加工情報や非識別加工情報の創設など、個人にかかわるデータも含めたビッグデータの利活用が促進されてきました。
その一方で、個人情報保護ルールはおくれたままです。個人の尊厳の観点から個人情報の自己コントロール権を保障したEUと比べても、極めて脆弱です。たとえ匿名、非識別加工を施したとしても、データ量がふえれば個人の特定に至る、その危険を一層深刻にするものです。
第二は、迅速化ありきでJIS制定を民間任せにすることが、国民生活や産業活動の基盤となる公的規格への信頼を後退させかねないからです。
これまでJISを審議してきた日本工業標準調査会では、制定過程の議事録や資料の公開により、専門性とともに客観性や透明性を確保してきました。ところが、民間認定機関の情報公開はパブリックコメントの募集にとどまります。これでは、JISへの信頼性を損なうのみならず、品質管理能力の向上や事業機会の確保にJISを役立ててきた中小企業にも悪影響を及ぼしかねません。
今やるべきは、神戸製鋼所や三菱マテリアルなど大企業で相次いだ品質不正事件の実態解明と信頼回復です。本法案は、この方向にも逆行するものです。
第三は、JISにサービス分野の準則的な役割を担わせることで、業法による安全性や信頼性が担保されないシェアリングエコノミーの促進を狙っているからです。
経産省はこれまで、道路運送法が禁止する白タクを相乗りマッチングサービスとして容認するなど、規制緩和の仕組みを利用してシェアリングエコノミーを拡大してきました。JIS化で一見国のお墨つきを得たように見えても、トラブルの際は利用者の自己責任が原則で、業法のような規制の役割は果たせません。
七十年かけて培ってきたJISの信頼の土台を崩すことになりかねない、このことを厳しく指摘し、反対討論とします。
 

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