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【13.06.21】再稼働ありきの新基準=笠井氏追及

規制委員長、異常水準の放出正当化

 
 日本共産党の笠井亮議員は21日の衆院原子力問題調査特別委員会で、原発の「新規制基準」が実態のないずさんなものであることを明らかにし、「国民の安全を置き去りにした、原発の再稼働ありきの新基準だ」と批判しました。 (※資料参照/.pdf
 新基準は、炉心溶融を伴う重大事故の際、原子炉の格納容器の破損を防ぐため放射性物質を放出する「ベント(排気)」を行うことが柱の一つとなっています。新基準では、その際に放出するセシウム137を「最悪でも100テラベクレルに抑える」ことを目標にしています。
 笠井氏が「原子炉等規制法は放射性物質の『異常な水準』での放出による災害防止を定めているが、100テラベクレルの放出は『異常な水準』ではないのか」とただしました。原子力規制委員会の田中俊一委員長は「そういったことをせざるをえないこと自体が異常な状況」と認めざるをえませんでした。
 笠井氏は、新基準で設置が求められる格納容器の「フィルター付きベント」は、加圧水型は「5年の猶予」が与えられ、猶予のない沸騰水型でも設置は「検討中」が多いと指摘。原則40年とする原発の運転期間も対策工事の計画だけで最長20年の延長を認めようとしているとして「結局、電力会社の意向をくんだだけだ」と批判しました。
 田中委員長は「フィルターベントの設置は炉型によって違う」「対策を取る間に40年を超す原子炉もある」などと規制基準の骨抜きを正当化しました。
 笠井氏は「そんな対応で、実際に重大事故が起こったら、どう責任をとるのか」と批判。「田中委員長は『世界でも一番厳しい規制基準』などというが、まったく実態を伴わない『安全神話』の復活だ」として原発再稼働をやめるよう主張しました。
(しんぶん赤旗/2013年6月22日より)

◆審議録(.pdf

論戦ハイライト

安全置き去りの原発新基準 笠井議員追及
 
21日の衆院原子力問題調査特別委員会で、原子力規制委員会が決定した原発の「新規制基準」についてただした日本共産党の笠井亮議員。原発再稼働ありきで、国民安全は置き去りの実態が浮き彫りになりました。

笠井  計画だけで再稼働容認か
田中俊一規制委委員長  「対策は時間かかるから」

 笠井氏は、新基準が国民から寄せられた意見も反映せず、事故の原因究明も終わらないなか、拙速に決められたものだと批判しました。

大気放出を前提
 
笠井 国民から寄せられた意見を受けて原案から最も変更した点は何か。
 田中委員長 基準の技術的内容を根本から変更したものはない。電源車やポンプ車の予備の台数を電力会社が設定できるようにした。
 笠井 福島原発事故の原因究明はすすんでいるのか。
 田中委員長 現場は(放射)線量が高いので少し時間はかかる。

 笠井氏は、新基準が格納容器の破損を防ぐためとして、放射性物質を大気中に放出する「ベント」を行うことを前提の一つにしていることの問題点も、こうただしました。
 
 笠井 原子炉等規制法では放射性物質の「異常な水準」での放出による災害を防ぐよう定めている。田中委員長は最悪でも100テラベクレルに抑えるというが「異常な水準」の放出ではないのか。
 田中委員長 そういったことをせざるをえないこと自体が異常な状況だ。

 さらに笠井氏は、新基準で求められている「フィルター付きベント」設置や原発の運転期間延長に必要な対策について、書類上の計画が認められれば、完了していなくてもよいとする問題を追及しました。

ずさん実態次々
 笠井 工事の着工・完了はしなくても再稼働の申請を受け付けるのか。原発の運転延長を求めるなら、対策工事が完了してから許可を申請し、審査を受けるのが当たり前だ。
 田中委員長 >実際の対策には時間がかかるので、(計画だけでよいと)そういう判断をしている。

 放射性物質をこし取るフィルターベントがなくても、また40年を超え老朽化した原発であっても、計画さえあれば再稼働や(60年までの)運転延長を認める―。新基準の骨抜き、ずさんな実態が次つぎと明らかになりました。
 さらに笠井氏は、重大事故が起きた際、周辺住民には避難を求めるとしながら、地域防災計画の策定が遅れていることを指摘し、こう追及しました。
 笠井 原発立地自治体や住民への説明は不十分だ。
 田中委員長 >(防災計画は)稼働判断と(法的には)直接リンクするものではない。
 防災計画が整わなくても再稼働を認めるとする田中委員長。笠井氏は「まったく実態が伴っていない。国民の安全を置き去りにした新基準だ」として、原発の再稼働をやめるよう求めました。

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