投稿

【10.02.14】NHK「日曜討論」に出席、各党代表と討論

政治転換 踏み出す予算に、“国民の暮らし悪化は底なし”

政治転換 踏み出す予算に―NHK日曜討論 笠井議員が強調
“国民の暮
らし悪化は底なし”

 日本共産党の笠井亮衆院議員は14日、NHK番組「日曜討論」に出席し、2010年度予算案の中身や「政治とカネ」の問題などをめぐって与野党代表と討論しました。このなかで笠井氏は「国民の暮らしの悪化は底なしだ。徹底審議をしながら、政治の転換に踏み出す予算に切り替える必要がある」としてその“要”となる3点を提起しました。

 一つは、自公政権の社会保障費削減路線がつくった数々の「傷跡」の是正です。笠井氏は、後期高齢者医療制度の撤廃や認可保育所の大幅増設による待機児解消などを具体的にあげました。
 二つめは、大企業がばく大な利益をあげても企業内部に蓄積され国民の暮らしにまわらないシステムを社会に還元させる政策に転換し、雇用や中小企業を守ることです。
 三つめに笠井氏は、軍事費と大企業・大資産家優遇税制にメスを入れ、庶民増税なしに財政問題を考えるべきだと提起しました。
 これに対し民主党の海江田万里衆院議員は「(10年度予算案の)組み替えは無理だが、次の(11年度)予算に必ずはね返る。そういう思いで積極的提案をやってもらいたい」などと述べ、「事業仕分け」を引き続き行う立場を示しました。
 笠井氏は「組み替えは無理というが、(軍事費などの)『事業仕分け』も国会審議でやるべきだ」と述べ、日本共産党として予算案の組み替え要求を示すことを強調しました。
 予算案審議に関し、民主党が公共事業の「個所付け」(配分個所と金額)関連情報を同党都道府県連を通じて地方自治体に内示していた問題が議論になり、海江田氏は「仮配分だ。資料の出し方に若干の誤解はあったことは認める」「(都道府県連に示したのは)陳情があったから」などと弁明しました。
 笠井氏は「時の政権党が予算を私物化したり、利益誘導に使ってはいけない問題だ」と厳しく批判。「個所付け」問題について、(1)今後の予算審議で毎年きちんと国会に資料を出すことをルール化する(2)「個所付け」が適当かどうか国会の場で徹底的に審議する場をもつ―との2点を提案しました。海江田氏は「ご意見はしっかりと受けとめる」と述べました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

NHK日曜討論 笠井議員の発言(詳報)

 日本共産党の笠井亮衆院議員は14日、NHK番組「日曜討論」に出席し、与野党代表と討論しました。司会は島田敏男NHK解説委員。

政権運営
医療や基地、要の問題で外れている

 番組では、NHKの2月の世論調査で鳩山内閣の支持率が47%、不支持率が42%となり、政権発足後初めて支持が50%を割ったことが議論になりました。
 民主党の海江田万里衆院議員は「たいへん厳しい数字だ。『政治とカネ』の問題もあるが、来年度予算が通らないと政権が変わったと実感できない」と発言。自民党の町村信孝衆院議員は「(与党に)政治倫理、モラルが欠けている。内政・外交の基本政策がない」と述べました。笠井氏は次のように語りました。
 笠井 やはりいま暮らしが大変で、「政治を変えてほしい」という国民の願いが切実になっている中で、ある意味期待もあっただけに、ガッカリ感が率直に表れている数字だと受けとめています。自公政権退場で鳩山政権ができて5カ月ですが、要(かなめ)の問題のところでちゃんと応えていないという問題があると思うんです。後期高齢者医療制度についても「廃止」といっていたが、4年後に先送り。4月からの保険料アップについても「負担軽減する」といっていたけれども、ほごにする。普天間基地の問題でも、県民の無条件返還・撤去という願いに応えていない。「政治とカネ」の問題もあります。もちろん公立高校の授業料無料化とか生活保護母子加算の復活とか(前進面も)あるんですけれども、要のところで外れている。本当に政治が変わったと実感できるところまで切り替えていく必要があると思います。

「政治とカネ」
偽証罪かかる証人喚問含め、国会は役割発揮を

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件が議論になり、司会の島田解説委員は、小沢氏が説明責任を「果たしていない」と考える人が84%という世論調査結果を示しました。町村氏は「政治倫理審査会を開いていない。全部隠そうという姿勢の一点張りだ」と与党を批判しました。笠井氏は次のように述べました。
 笠井 政治倫理審査会の話があったんですが、これはこの間みても、疑惑を持たれた政治家の“弁明の場”になっていて、真相を解明することになっていないんですね。しかも原則非公開で傍聴もできない。うそをついても偽証罪に問われないわけです。今度の問題の一番の核心は、小沢さんの政治資金をめぐって21億円ものうその報告をしていたという問題です。うその報告が問題になっているんですから、うそをつけない、偽証罪がかかる証人喚問でないと真相解明できない。国会として政治的道義的な責任をきちっとただすことが必要で、そこをやらずに(元秘書の)石川知裕衆院議員が離党したということで“一件落着”なんて話になったら、とんでもない。しかも(石川氏は)「予算審議のなかで民主党に迷惑をかけた」という話ですから、国民へのおわびもしていない。彼自身の証人喚問をすべきだし、小沢さんの証人喚問も含めて徹底的に国会は役割を果たすことが必要だと思います。
 これを受けて海江田氏が「小沢幹事長がいま、うそをついているのかどうか。検察の調べで関与していないことははっきりした」などと擁護したのに対し、笠井氏は次のように反論しました。
 笠井 小沢さん自身が関与していないことがはっきりしたというのは違うんです。小沢さんは不起訴になりましたが、これは「嫌疑不十分」であって、嫌疑は「ない」のではなくて「あり」なんです。だから疑惑はあるわけです。秘書の3人が起訴されて(政治資金収支報告書への虚偽記載を)認めているわけですから、そういう問題に対してどうかかわったのかについても解明が必要です。しかも、「天の声」で公共事業がゆがめられたんじゃないかという性格の問題がありますから、いよいよ予算委員会できちんとやらなきゃいけない。
 鳩山由紀夫首相の偽装献金事件に話題が移り、海江田氏は「鳩山総理は無私の人だ。残念ながら株の配当だけで5000万、6000万円あるような人に(収入が)200万、300万円の人が寄付するかといったらしない。(首相は)その現実がわからなかったので、秘書が苦労して、架空の人の、あるいは亡くなった方の名義になっちゃった」と発言。笠井氏は次のように述べました。
 笠井 鳩山さんの問題を含めて、民主党として自浄能力を発揮してもらいたい。金権政治といってロッキードもあった、田中金脈、金丸金脈もあって、(国民は)政治を変えたい、今度こそ変わると思っているわけですから、そうなっていないという疑惑をもたれる問題はきちんと説明しきる、そして責任を果たすということが必要だと思います。

個所付け
予算私物化させぬため、国会審議のルール化必要

 公共事業費の「個所付け」(配分個所と金額)関連情報を民主党が同党都道府県連を通じて地方自治体に内示していた問題では、社民党の阿部知子衆院議員が「中間的なものが民主党にだけ流れている。透明性を高めようということだから、全部オープンにして審議するのも一歩だ」、国民新党の下地幹郎衆院議員は「民主党から資料がきたが、もらうべきものでないと返した。選挙とからむといわれる。慎重にやるべきだ」と発言。海江田氏は「予算が通らなければ公共事業の費用が全体でいくらになるか決まらない。だから私たちはこれを仮配分と呼んでいる」と弁明しました。笠井氏は次のように述べました。
 笠井 海江田さんから「仮配分」という話がありましたが、予算が通っていないから「仮配分」というだけであって、時の政権党が予算を私物化したり、利益誘導に使っちゃいけないという問題だと思います。そうさせないために、やはり国会審議の場に出して、審議に供するべきです。民主党だって、かつて、この個所付けという問題が自民党政権時代に闇の中にあって、そこが結局利益誘導になったといい、出そうじゃないかといってきた。馬淵澄夫国交副大臣も昨年暮れ、国会に出すといってきたわけだから、それをやるべきです。
 二つ提案したい。今回たまたまこういう経過で出たが、これを今後の予算審議でも毎年きちっと出すということをルール化すべきだというのが一点。もう一つは、これをめぐって、これが適当なのかどうか、事業仕分けもやられてきた。今度は国会の場でこの問題を集中的に審議する場をもつべきです。公平公正の問題です。きちっとやりましょう。
 海江田氏は「そのご意見はしっかり受けとめる」と応じました。

来年度予算案
真の政治の転換に踏み出すべきだ

 続いて来年度予算案が議論になり、笠井氏は次のように述べました。
 笠井 暮らしの悪化は底なしだから、やはり徹底審議をしながら悪政にメスを入れて本当に政治の転換に踏み出す予算に切り替える必要があります。ここを変えなかったらいけないという要が三つあります。一つは社会保障の中身です。自公政権時代、毎年社会保障を2200億円ずつ削ってきた傷がひどい。これを本当に再建する。後期高齢者医療制度の廃止もそうだし、子育ての問題では、子ども手当もありますが、一方で保育所の基準緩和をして詰め込みをひどくするというのではなくて、認可保育所を増やして待機児童をゼロにするとか、やるべきことがあります。
 二つめに、大企業がもうけても、その利益が企業内部に蓄積されて国民の暮らしに回らない。こういう問題についても社会に還元して雇用や中小企業を守る。
 三つめは、軍事費と大企業優先、あるいは大資産家減税という「聖域」にメスを入れて、庶民増税なしということで財政の問題を考えることが必要です。
 海江田氏が「実は今度の予算委員会でも、本当に公明党さんや共産党さんの意見の中には聞くものがあった。いまは実現できない、組み替えは無理です。だけど次の予算に必ずはね返る」と述べたのに対し、笠井氏は次のように主張しました。
 笠井 海江田さんが今回組み替えは無理だといったが、やはりこれだけ暮らしが大変な中だから、この予算審議の中で、きちっと国会の中で「事業仕分け」ということもやるべきです。そういうこともやって、いい予算にするということを、われわれ自身も組み替えでは(提案を)やるが、ぜひそういうことをこの国会でやるべきです。
 海江田氏は「実は予備費を従来の3000億円とは別に1兆円積んでいる。ここを共産党さんの提案にも使えるものがあったら使えばいい」と述べ、笠井氏は「まだまだ議論しましょう」と応じました。
(「しんぶん赤旗」2月15日付より)

PAGE TOP