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【09.03.22】NHK討論=緊張増す行為自制を 笠井議員が見解

「人工衛星」問題 日朝双方に求める

 発言する笠井議員
 北朝鮮が「人工衛星」を四月に打ち上げると通告している問題について、日本共産党の笠井亮衆院議員は二十二日、NHK「日曜討論」で、「北朝鮮には、緊張を悪化させるような行為を差し控えることを求めることが必要で、日本も軍事的対応に進むという緊張を悪化させることはやめるべきだ」と見解を述べました。
 このなかで笠井氏は、二〇〇六年十月に採択された国連安保理決議一七一八で、朝鮮半島の非核化の達成と北東アジア地域の平和と安定の維持のために、関係国は「外交努力を強化し、緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控える」となっていることを紹介。北朝鮮と日本の双方が「自制することが大事だ」と述べました。
 また、「決議では、六カ国協議の早期再開を促進するすべての関係国の努力を歓迎・奨励している。こういうときこそ日本、アメリカ、韓国、ロシア、中国と、北朝鮮の六カ国協議をすべきだ」と強調しました。
 討論のなかで自民党の中谷元・元防衛庁長官は、北朝鮮が「人工衛星」を打ち上げた際に、「万が一のことを考え、万全の体制をとる」として、自衛隊などによるミサイル防衛システムで破壊するとの立場を示し、民主党の浅尾慶一郎参院議員も「しかたない」と述べました。
 笠井氏は「軍事的対応の議論は、それ自身が緊張悪化につながる」と発言。北朝鮮が発射を予告している四月の四日から八日までまだ二週間あると述べ、「その間に緊張を悪化させる事態にならないように外交努力に全力をあげるべきだ」と強調しました。
 自民党、公明党の代表も外交努力の必要性を認めました。
 北朝鮮の発射後の対応について問われ、笠井氏は、「国連の潘基文(パンギムン)事務総長も、国連安保理決議に違反するかどうかは事後に協議することと言明している」と述べた上で、北朝鮮が過去の国際的な無法を清算していない国だと指摘し、「だからこそ、批判する側は事実と根拠に基づいて道理を尽くすべきだ。どこが違反しているのかきちんと示すことが大事だ」と語りました
NHK日曜討論=笠井衆院議員の発言内容
 二十二日放送のNHK「日曜討論」に出席した日本共産党の笠井亮衆院議員の発言で、北朝鮮の「人工衛星」問題についての部分を紹介します。
6カ国協議をきちんとやる
 冒頭、司会の島田敏男氏は、「北朝鮮は来月四日から八日に人工衛星を打ち上げると。しかし、実際には弾道ミサイルの発射実験ではないかとみられている。どう対応するのか」と提起。自民党の中谷元・元防衛庁長官は「(北朝鮮の)ミサイル開発はやめてもらいたい。政府としては万が一のこと(落下物)を考え、万全の体制をとる」と発言。笠井氏は次のように述べました。
 笠井 (二〇〇六年十月に採択した)国連安保理決議一七一八の第十三項のところで、朝鮮半島の非核化の達成と、北東アジア地域の平和と安定の維持のために、外交努力を強め、緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控えるとあります。
 北朝鮮は緊張を悪化させるような行為を差し控え、自制をすることが必要ですし、それを求めていくことが必要です。同時に、日本がすぐ軍事的対応に進むというのは、それもまた緊張を悪化させることになるのでやめるべきです。どちらも自制することが大事です。
 安保理決議では、六カ国協議の早期再開を促進するすべての関係国による努力を歓迎し、さらに奨励しています。こういうときこそ、日本を含めてアメリカ、韓国、ロシア、中国と北朝鮮の六カ国協議をきちんとやるべきだと強く言いたい。
外交努力に全力をあげよ
 討論では、現場の自衛隊部隊による弾道ミサイルや人工衛星などの破壊の手順を定めた「緊急対処要領」が議論になり、中谷氏は「防衛大臣の(ミサイル)破壊措置命令をかけるというところまで準備をして、自衛隊は備えていく」と述べました。笠井氏は次のように発言しました。
 笠井 ミサイル防衛システム自体が軍事的対応ということで導入されたものです。(北朝鮮が発射を予告している四月四日から八日まで)まだ二週間あるので、その間に緊張を悪化させるような事態にしないために最大限力を注ぐべきです。
 六カ国協議が始まった〇三年当初、「平和的解決のプロセスのなかで、状況を悪化させる行動をとらない」ことを北朝鮮も含めて全体で合意しているわけです。この基本精神に立って、(北朝鮮と日本)双方が緊張を悪化させることはしないと。(北朝鮮の発射に対しての)軍事的対応の議論は、それ自身が緊張悪化につながります。まず外交努力に全力をあげることです。
 討論の中で中谷氏も「確かに外交努力は必要で、六カ国協議で北朝鮮はミサイル凍結を言っている。その約束を守ってもらうために、国際協力が必要だ」と述べました。
批判する側も道理を尽くす
 討論は、“北朝鮮が撃った後の安保理の対応”に移り、笠井氏は次のように述べました。
 笠井 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長も、国連安保理決議に違反するかどうかは事後に協議することと言明しています。その後の対応や、追加的な制裁の問題もその時点で判断していくということです。
 肝心なのは北朝鮮という国は、(過去の)国際的な無法について清算していないことです。そういう国だからこそ、対応するにはいっそう、事実と根拠に基づいて、批判する側もきちんと道理を尽くさないと、逆にこちらが道理を失うことになります。どこが違反しているのかきちんと示すことが大事です。
 このテーマの議論を受け、司会の島田氏は、「確かにまだ(発射までに)日数はあります。その間に、どういう変化が国際社会のなかで、あるいは北朝鮮そのものにあるのかないのか、そこを見極めたいと思います」と締めくくりました。
(しんぶん赤旗/2009年3月13日より)
(写真はNHKのテレビ放送から)

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