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【06.08.02】党都委員会、田村智子事務所が来年度概算要求にむけて政府交渉

子育て支援、障害者自立支援法、介護保険の問題で

政府交渉する笠井議員ら
 日本共産党の東京都委員会と田村智子(参院東京選挙区候補)事務所がおこなった、2007年度予算の概算要求にむけた政府交渉に、小池晃参院議員、吉田信夫都議、地方議員・同候補ら70人とともに参加しました。参加者からは、内閣府、厚生労働省、文部科学省にたいして、深刻な実態や切実な要望が出されました。
 子育て支援について、政府側は「保育施設の整備予算の確保に努力する」「きょうの意見を参考に、少子化対策として何が有効かを検討していきたい」と答えました。
 障害者自立支援法については、定率負担をやめ応能負担を原則にすること、せめて作業所の工賃より利用者負担が上回らないように改善すること、影響調査の実施を要望。影響について政府側は「調べたい」と答えました。
 介護保険については、保険料・利用料の一層の負担軽減や施設の居住費・食費の負担の再検討、介護ベッドや車いす、ヘルパー派遣が必要な高齢者が制度移行でサービスが受けられなくならないよう対策を講じるよう要望しました。
●資料
[子育て支援に関する要望]
 今年6月に発表された合計特殊出生率は、全国1.25、東京都0.98と戦後最低を記録し、少子化がいっそう深刻になっているもとで、子育て支援の強化は緊急の課題です。各種の世論調査結果をみても、子育てや教育にお金がかかりすぎる、保育所の不足や育児の孤立化など地域における子育て環境の整備が不十分なこと、などを指摘する声が共通しており、これらの問題の打開に本気で取り組むかどうかが問われています。
 なかでも東京では、生活費が高い、職場と住まいの距離が遠く通勤時間が長い、核家族化がすすんでいるうえ地域コミュニティが弱いなど、子育てにともなう独自の困難さがあるため、子育て支援の強化をもとめる都民の要望は、とりわけ切実なものがあります。小児科、産科の経営危機と医師不足で、縮小・撤退、夜間救急の停止などの事態が進行していることも、子育て環境をおびやかす深刻な問題となっています。
 したがって、乳幼児医療費無料化制度をはじめとした経済的支援の強化、小児科・産科の医療体制確保、認可保育所と学童クラブ、および在宅で子育てしている家庭も対象にした子育て支援の拡充にむけ、以下の事項について政府として具体化することを、つよく要請するものです。
(1)経済的支援を強化すること。
1、国において、乳幼児医療費無料化制度を創設すること。また、地方単独事業として実施している乳幼児医療費助成制度に対する国民健康保険国庫負担金の減額調整措置を廃止すること。
2、出産費用や妊婦健診の無料化、児童手当の拡充、私立幼稚園保護者負担の軽減、奨学金や就学援助の拡充をはじめ、子育てにかかる経済的負担の軽減策を強化すること。
(2)地域における子育て環境の整備促進を図ること。
1、小児科、産科の医師を増やすとともに、自治体や医療機関がとりくむ小児科、産科の医療体制確保に対する財政支援、および国立病院の医師を派遣するなどの支援をおこなうこと。国立病院における小児科、産科の拡充をすすめること。
2、認可保育所の増設・増改築を促進するとともに、施設および職員配置等の最低基準を引き上げること。児童福祉法第24条にもとづく認可保育所制度を堅持するとともに、保育の質の低下をまねく民営化・民間委託はしないよう指導すること。
3、学童クラブの増設・増改築を促進するとともに、施設および職員配置等の設置運営基準を定めること。全児童対策事業とは別事業であることを明確にし、学童クラブ独自の職員と部屋を堅持するよう指導すること。
4、区市町村が実施する多様な子育て支援事業に対する財政支援を拡充すること。

[障害者自立支援法に関する要望]
障害者自立支援法が4月に施行されましたが、心配されたとおり深刻な事態が、障害者と家族、障害者施設などにうまれています。わが党都議団が、都内410か所の通所施設を対象に影響調査をおこなった結果、100をこえる施設から回答があり、「これほどの負担になるとは思っていなかった」、施設は減収になり「存廃に関わるたいへんな事態」などの切実な声がよせられました。
 定率負担と給食費導入で、施設利用者の97%が負担増となっており、これまで無料だったのが、月額2万円以上もの負担となった人が約4割におよび、重い負担のため、15人が通所を断念し、67人が退所を検討しています。作業所で働いた工賃よりも、施設の利用者負担の方が上回る人も少なくありません。「自立どころか就労への意欲が失われる」「何のために働いているのかわからない」という声があがっているのは当然のことです。政府は、負担上限額を設けるなど低所得者に配慮したといいますが、現実はまったく違います。
 施設運営も補助単価が下がったうえ、利用者が休んだ日は運営費から減額される「日払い」式に変えられたため、施設の7割以上が減収となり、年間3千万円以上もの減収が見込まれている施設もあります。「定員を増やし、土曜、日曜も開所するなどの対策を講じても減収が生じる」「人員削減や賃金カットはもうできない。すでにぎりぎりです」などの声が、いっせいにあがっているのです。
 さらに、10月からの法の全面施行を前に、新たに導入される障害程度区分認定や、区市町村による地域生活支援事業、施設の自立支援法にもとづく新体系への移行などにたいし、大きな不安がひろがっています。
 わが党は、障害者の本当の自立支援にむけ、以下の事項の実現を、つよく要請するものです。
1、「定率(応益)負担」を再検討し、「応能負担」を原則にすること。施設における給食費負担もふくめ、利用者負担の減免措置を強化するとともに、少なくとも、作業所の工賃より利用者負担が上回るような事態はなくすこと。
2、施設運営費の補助を増額するとともに、「日払い」式を再検討すること。大幅な収入低下で運営が継続できないような事態が生じないための対策を実施すること。
3、区市町村が実施する地域生活支援事業については、小規模作業所、地域生活支援センター、ガイドヘルパー、手話通訳などの現行のサービス水準が低下しないよう、財政支援を強化すること。
4、障害程度区分認定は、知的障害者や精神障害者をはじめ、さまざまな障害の状態にあった認定ができるよう改善すること。障害程度区分認定にもとづく支給決定はあくまで標準であり、上限ではないことを周知徹底すること。
5、サービス基盤整備の促進にむけ、財政支援を強化すること。
6、障害者の所得保障、および就労支援を抜本的に強化すること。
7、障害者と家族、施設運営への自立支援法による影響調査をおこなうこと。また、政府と自治体責任をもって制度の周知徹底をはかること。

[介護保険に関する要望]
 この4月から、都内各自治体の第1号介護保険料は平均で月額4,100円をこえ、1年間ではひとり当たり1万円もの値上げとなりました。利用料の負担も重く、都独自に利用者負担軽減措置を実施しているほか、昨年10月からはじまった施設における居住費・食費負担に対するものもふくめ、都内29の区市町村が何らかの負担軽減を実施しています。
 そのうえ、要介護1~2の高齢者の多くが、制度改定により要支援1~2へ変更され、介護ベッドや車椅子などの福祉用具レンタルが利用できなくなる、ヘルパー派遣の時間・回数を減らさざるをえなくなる、などの事態がひろがっています。予防給付の対象となった高齢者では、介護予防プランをつくるケアマネがいない「ケアマネ難民」がうまれています。また療養病床では、実態にあわない医療区分による保険給付の大幅削減で、気管切開や経管栄養など医療的ケアが必要な高齢者の居場所がなくなることが、大きな問題となっています。
 一方、税制改定により、6月から高齢者世帯の住民税が大幅に増税され、収入が増えていないのに前年にくらべ数倍から10倍もの税額になる人が相次ぎ、自治体の窓口には苦情と抗議の声が殺到しています。
 このようななか、介護および介護予防に対する国庫負担を増額し、高齢者の負担増と、サービスの切り下げをやめるため、以下の事項について、つよく要請するものです。
1、介護保険料、利用料のいっそうの負担軽減をはかること。社会福祉法人等による利用者負担軽減措置を拡充すること。また、施設における居住費・食費負担は再検討すること。
2、介護ベッド、車椅子などの福祉用具やヘルパー派遣の必要な高齢者が、制度移行にともなう介護認定の変更により利用できなくなることがないよう、経過措置の延長、個別対応の拡大などの対策を講じること。
3、介護予防プランの促進にむけ、ケアマネが扱う介護予防プランの制限に関する経過措置の延長、予防給付の報酬の充実などの対策を講じること。ケアプランの介護報酬を充実し、介護度による報酬の設定は再検討すること。
4、1時間をこえるヘルパー派遣の報酬加算の復活をはじめ、長時間のヘルパー派遣が必要な人については利用できるよう対策を講じること。また、通院介助を一律に認めない対応をやめること。
5、療養病床の廃止・削減、および医療区分による保険給付削減をやめること。また、特別養護老人ホーム、老人保健施設の増設をすすめるとともに、職員体制および医療対応の強化をはかること。

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