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【14.02.27】衆院予算委 笠井氏が「エネ計画」案撤回要求

“原発トラブル隠し”86件

 
 日本共産党の笠井亮議員は27日の衆院予算委員会で、原子力規制庁が福島第1原発の事故後、199件のトラブル・事故を把握しながら、過少に報告する“トラブル隠し”をしていたと告発。政府が取りまとめた「エネルギー基本計画」案を「原発推進計画だ」と批判し、撤回を求めました。

 笠井氏は、福島第1原発のトラブルが113件にのぼることを指摘。原子力規制庁は、これ以外に86件のトラブルを把握しながら、「軽微」だとして除外していたことを示しました。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、笠井氏の指摘を認め、201件と訂正しながら、「(除外したトラブルは)ただちに危険を伴うものではない」と弁明。笠井氏は規制庁が「(放射性物質を除去する)多核種除去装置(ALPS(アルプス))の一時停止」「汚染車両が発電所構外を走行」なども「軽微」としてトラブルから除外しており、「原発事故をできるだけ小さくみせる。国も事故隠しをやっているということではないか」と追及しました。安倍晋三首相は「事故、トラブルは正確に把握し、公表しながら、的確に対応したい」と答えました。

 さらに、笠井氏は、安倍内閣が「エネルギー基本計画」案で原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、「再稼働を進める」と明記したことを批判。

 笠井氏は、福島第1原発では今でも汚染水をめぐる重大事故が続出し、事故の収束・後始末さえできないと指摘。にもかかわらず、原発の規制基準には汚染水・地下水対策も含まれていないとして、「基本計画」案の撤回を強く求ました。国が前面に立って汚染水問題の対応を行い、科学者・技術者・産業界の英知を総結集する場を国会につくるよう提起しました。

論戦ハイライト

 
◆笠井 「国のトラブル隠しだ」
◆首相 「正確に把握して公表する」

 2011年3月の事故後から現在までに福島第1原発で起きたトラブルの件数について、田中俊一原子力規制委員長は「かなり小さいものも集計した」などとして107件と報告。笠井氏は規制庁が事前に提出した113件とする資料をもとに、「極めて重大なトラブル・事故が度重なっている」と指摘しました。

 「トラブルは本当にこれだけか」と笠井氏は追及。原子力規制庁が東京電力から報告を受けながら「軽微」だとして集計から除外したトラブルが、昨年4月以降だけで86件にのぼることを、独自に入手した規制庁の資料をもとに暴露しました。

 田中規制委員長はトラブルの総数は201件だったと答弁を訂正しました。

 笠井氏は、規制庁が「軽微」と除外したトラブルの中身について▽汚染水を処理する多核種除去装置(ALPS(アルプス))の一時停止▽汚染の外洋流出を防ぐシルトフェンス(水中カーテン)の切断▽作業員落下による負傷▽汚染車両が原発構外を走行―などと具体的に示し、「国によるトラブル隠しとしか言いようがない」と批判しました。

 笠井 総理も視察で経験したと思うが、原発サイト(施設)では移動車両の汚染を念入りにチェックする。「汚染車両が発電所構外を走行」がなぜ「軽微」か。起きてはならない事態ではないか。

 安倍晋三首相 車の除染等は相当厳密にやっている。指摘された例がなぜ起きるのか、なかなか理解できない。まことに遺憾だ。トラブル例は正確に把握し、しっかりと公表しながら的確に対応したい。

 放射能汚染水問題でも重大事故が相次いでいると笠井氏は追及。田中規制委員長は19日にタンクから100トン、1リットル当たり2・3億ベクレルの高濃度汚染水が漏れた原因を「現状で分かったのは、水位計の警報に適切に対処しなかったこと。根本原因の分析を含めて東電が調査中」と説明しました。

 笠井 これでもまだ「状況が完全にコントロールできている」と言うのか。

 首相 先般のIAEA(国際原子力機関)の視察でも、汚染水は湾内の極めて限られた地域にブロックされているという趣旨の発言があった。私の発言が裏づけされたものと考えている。

 安倍首相は相次ぐ事故を直視せず、コントロールできているという立場に固執しました。

 笠井氏は、首相が「世界で一番厳しい」という原発審査の規制基準にも汚染水・地下水対策が含まれていないと指摘し、「こんな形で再稼働し、原発を使っていくのはありえない」とエネルギー基本計画案の撤回を求めました。

◆首相 「さまざまな意見反映した」
◆笠井 「国民世論無視してる」

 「エネルギー基本計画」の策定にあたり、経済産業省・資源エネルギー庁は昨年末から年明けにかけて国民の意見を募り、1万8663件のパブリックコメントが寄せられました。

 この意見について、原発の賛否、再稼働の是非の内訳の公表を求めた笠井氏に、茂木敏充経産相は「団体も個人の意見もある。数ではなく、内容に着目して整理した」と答え、内訳を示しませんでした。

 福島第1原発事故後、当時の政府のもとで国民的議論が行われ、意見公募には約8万9000件の意見が寄せられました。このうち「原発ゼロ」の意見が約9割にも及んだ事実が公表され、政府は「大きな方向性として、少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会を望んでいる」との結果を示しました。

 こうした経過を振り返った笠井氏はあらためて、意見の賛否の内訳を公表しない理由をただしましたが、茂木経産相は答えませんでした。

 笠井 最近の世論調査でも「原発ゼロ」が多数だ。意見の賛否も公表しない。どうやって国民の意見を反映し、計画を作るのか。

 首相 さまざまな意見を踏まえつつ、責任あるエネルギー政策を構築していくことが何よりも重要だ。反映すべきものは反映した。

 笠井氏は基本計画案について「原発を重要な電源と位置付け、再稼働を進め、もんじゅをやめない」「国民の世論を無視した原発推進計画宣言そのものだ」と批判しました。

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