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【10.09.20】思いやり予算32年間で2兆円余―笠井議員への資料で明らかに

(2010年9月20日「しんぶん赤旗」より)

 米軍の特権を定めた日米地位協定上も負担義務のない日本政府の在日米軍「思いやり」予算で、1979年度から始めた基地の施設整備の負担総額が、2010年度予算までで約2兆1714億円に上ることが分かりました。施設整備費が投じられた米軍基地は66基地で、整備数は計1万2900件に達しています。防衛省が日本共産党の笠井亮衆院議員に提出した資料で明らかになりました。
家族住宅1戸4800万円
学校、病院、郵便局
 整備数の内訳(表)を見ると、最も多いのは家族住宅で1万1383戸。総額は5510億円で、1戸あたりの建設費は平均約4800万円になります。日本の標準的な住宅よりもかなり高額です。

 戦闘機の耐爆シェルター(掩体(えんたい))をはじめ滑走路や駐機場、整備用格納庫、原子力空母のバース(係留施設)といった作戦支援施設から、学校、育児所、厚生・運動施設、病院、郵便局などの生活関連施設の建設まで至れり尽くせりで、施設の項目数は69に及んでいます。

 投じられた施設整備費を基地別(表)にみると、トップは、滑走路の「沖合移設」を口実に基地の大拡張が進んでいる米海兵隊岩国基地(山口県)。次いで米空軍三沢基地(青森県)となっています。

再編にも3兆円が
 日本国民の税金を使っての米軍基地の施設整備は、「思いやり」予算によるものだけではありません。

 ▽沖縄の米軍基地や訓練を県内や本土に「移転」=たらい回しするためのSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)関係経費▽沖縄の名護市辺野古での新基地建設をはじめ総額3兆円にも上るとされる米軍再編関係経費―などによる基地の施設整備もあります。

 とりわけ、米軍再編関係経費は10年度予算で1320億円に上り、縮小傾向にある「思いやり」予算の施設整備費206億円を大きく上回っています。

 米軍再編関係経費では、沖縄の米海兵隊の「移転」のためとして行われる米領グアムでの基地増強計画にも施設整備費を計上。米国領にある米軍基地の施設整備費を負担するという、前代未聞の領域にまで踏み込んでいます。

施設整備額上位10基地
施設別の整備数と予算額

「思いやり」予算 在日米軍の維持経費は日本に負担をかけないですべて米国が負担すると規定している日米地位協定に反して計上されているため、「思いやり」予算と呼ばれます。内容は、米軍基地の施設整備費のほか、日本人従業員の労務費、米軍の光熱水料、訓練移転費。2010年度予算では総額1881億円となっています。

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